おすすめの恋愛映画10作品を紹介します。
「恋愛映画は苦手」という方は意外と多いのではないでしょうか?
確かに恋愛映画には、恋愛が美化されているものや、都合のいいストーリー展開やわざとらしいハッピーエンド作品が多いので、男性はもちろん、質が高い映画を見たい女性からも敬遠されるかもしれません。
良い恋愛映画の魅力は、人生に色どりを与え、心を豊かにしてくれることだと思います。
今回紹介する作品は恋愛映画を敬遠している方にもぜひ見てほしい、凝った映像が満喫できる非常に優れた作品ばかりなので、ぜひ高画質でご覧ください。
おすすめ 恋愛映画10選
1.トリコロール 青の愛(1993年 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ)
最愛の夫と子どもを自動車事故で亡くしたジュリーは、悲しみと痛みに耐えられず自殺しようとしても、どうしてもできません。過去を捨てて一人で生きようとしますが、亡き夫の同僚で、ずっとジュリーに思いを寄せていたオリヴィエが近づいてきます。作曲家だった亡き夫の未完の協奏曲を、オリヴィエと一緒に完成させていきながら、ジュリーは少しずつ心を開いていくのですが、亡き夫のショッキングな事実が明らかになって…。
フランスの国旗の、青・白・赤をテーマにしたトリコロール三部作の一作目です。最初から最後まで、青が印象的に使われている、この上ないほど美しい映像はまるで魔法を見ているようです。この作品で注目したいのは、夢のように美しい映像にもかかわらず、きれいごとが一切ない心理描写です。時代を超えて、世界中の映画ファンから熱烈に愛されている名作で、同じくらい素晴らしい『白の愛』と『赤の愛』を見ると、三部作の登場人物がつながっていることが分かって嬉しくなります。
2.恋人までの距離(1995年 監督: リチャード・リンクレイター)
ハンガリーからフランスへの列車で、アメリカ人のジェシーとフランス人のセリーヌが偶然出会い、ひと目で惹かれ合い、古都ウィーンで途中下車します。ふたりでウィーンの街を歩き、お互いについて打ち明け、ロマンティックなときを楽しみますが、列車の発車時刻が近づいてきて…。
非常にロマンティックな設定でありながら、男性のファンがとても多い作品です。その理由は、ひっきりなしに続く、最高にウィットに富んだ、テンポの良い会話でしょう。驚くほどストレートで、正直でユーモアがあって、こんな会話をしてみたいと憧れてしまいます。続編が二作も作られていることから、この映画がいかに大成功しているかが分かります。
3.アイ・ウォント・ユー(1998年 監督: マイケル・ウィンターボトム)
恋人ヘレンの父親を殺した罪で服役していたマーティンは、ヘレンに会うために9年ぶりに故郷の港町に戻ってきます。事件当時は14才だったヘレンは、美しい大人の女性に成長していました。9年ぶりの再会に心が大きく揺れるヘレンを静かに追いかけるマーティンですが、もうひとり、ヘレンを追いかける少年がいて…。
レイチェル・ワイズが男性を狂わせる危険な女性を演じる、激しい官能ラブ・ストーリーです。『トリコロール 青の愛』と同じ撮影監督による、青やゴールドのフィルターを使った映像が本当に独特で「この映画がずっと忘れられない」と、たくさんの男性に支持されている名作です。豊かな黒髪と、グリーンの瞳と肉感的な唇のヒロインのセクシーでダークな魅力に、誰もが虜になって当然でしょう。彼女になら破滅させられてもいいかもと思わせる、説得力のあるヌードが必見です。陰鬱だけれどノスタルジーを感じさせるイギリスの港町の雰囲気と、口をきかない移民の少年とその姉の存在感も、いつまでも強く印象に残ります。
4.つぐない(2007年 監督: ジョー・ライト)
第二次世界大戦がはじまる直前のイギリス。官僚の娘で豪邸に住むセシリアは、身分の違う幼なじみのロビーと愛し合うようになりますが、ロビーに憧れるセシリアの多感な妹ブライオニーのひとつの過ちによって、ロビーは無実の罪を着せられ、刑務所に送られてしまいます。ふたりを引き裂いてしまった罪悪感に苦しむブライオニーは、ある方法で過ちを償おうとするのですが…。
美しい悲しさと切なさに浸りたいときに、ぜひ見てみてください。深い悲しみに満ちていますが、単なる悲恋ものではなく、奥深い心理描写が見事です。特に妹ブライオニーの複雑なキャラクターが、物語を何倍も味わい深くしています。ラブ・ストーリーですがサスペンスのような緊張感があって、言葉を失うようなどんでん返しがある、見ごたえのある作品です。
5.美しいひと(2008年 監督: クリストフ・オノレ)
パリの高校に転校してきた16才の美少女ジュニーは、瞬く間にまわりを魅了してしまいます。物静かで優しい生徒オットーと付き合いはじめますが、ジュニーが本当に惹かれているのは、若くてハンサムな教師ヌムールで…。
フランスの高校生は、こんなにもおしゃれで知的でセクシーなのかと驚いてしまいます。本当は金髪のレア・セドゥが、この映画では、透き通った白い肌とどこか悲しげな青い瞳に映える黒髪で、フレッシュでみずみずしい魅力にあふれています。女神のようなヌードも見逃せません。美人で魅惑的なヒロインですが、原題は、美しい容姿ではなく、美しい人格という意味で、しっかりと自分を持っているヒロインの芯の強さが描かれています。青春映画でありながら、フランスでは年輩の方からも高い評価を得ている人気作です。
6.きみがぼくを見つけた日(2009年 監督: ロベルト・シュヴェンケ)
ヘンリーは、自分の意志とは関係なく、時空を旅してしまうという運命を背負っています。どの時代のどの場所に行くのかを、コントロールすることはできません。ある日、飛んで行った過去で少女クレアと出会い、クレアは未来から来たヘンリーに心を奪われますが、ヘンリーは元の時空に戻らされてしまいます。長い年月の後、ついに同じ時空で再会できたふたりは激しい恋に落ちますが、ヘンリーのタイムトラベルのせいで、何度も引き裂かれることになり…。
『ハルク』や『トロイ』などのアクション映画で人気のエリック・バナが、特殊能力のせいで自分は人とは違うという孤独を感じている主人公を、繊細に演じています。エリックには、他の俳優には出せないような深みと哀愁があって、本当にかっこいいです! 時空に引き裂かれてしまう恋人たちという設定が新鮮で、さらにコメディでもある楽しい作品です。
7.イマジン(2012年 監督: アンジェイ・ヤキモフスキ)
ポルトガルの首都リスボンの盲学校に、視覚障害者の教師イアンが新任としてやって来ます。杖を使わずに街を歩くことができるイアンは、生徒たちに自分と同じように外を歩き、外の世界に出ることの楽しさを教えていきます。そんな型破りなイアンに、盲目で引きこもっていた女性エヴァは興味が惹かれて、一緒に街へ出かけてみたいと思いはじめるのですが…。
視覚障害者のステレオタイプにはまらない、黒いレザージャケットを着た、大胆でユーモラスなイアンがクールです。視覚障害者の恋というミステリアスな世界に、想像力が刺激されます。自然光を効果的に使った映像から、古都リスボンの光と暖かさが伝わってくるのが心地良いです。そして繰り返し使われているテーマ曲が印象的で、心の深い部分まで響きわたるようです。映像と音楽がこんなにぴったりと合っている映画は、めずらしいと感じるほどです。低予算で、日本ではあまり知られていない作品なので、隠された宝石を見つけたような嬉しさが感じられます。
8.あの日のように抱きしめて(2014年 監督: クリスティアン・ペッツォルト)
第二次世界大戦後のベルリン。強制収容所から奇跡的に生還した、裕福なユダヤ人の娘で元歌手のネリーは、元の顔が分からなくなるほどの大きな怪我を負っていました。顔の修復手術を受けて回復し、愛する夫ジョニーに会いに行くのですが、ジョニーはネリーは死んだと頑なに思っているため、気づいてもらえません。そのうえ「君は収容所で亡くなった妻に似ている。妻になりすましてくれたら、遺産がもらえるから、それを山分けしよう」と言われてしまい…。
センチメンタルな邦題からはとても想像できませんが、並外れて質が高い映画です。ヒロインの、純粋でひたむきな姿が切ないラブ・ストーリーで、夫への一途な愛がテーマですが、原題はPhoenix(不死鳥)で、戦争の犠牲となり、心身と顔に、耐えられないほどの大きな傷を負ったネリーの、再生の物語が核になっています。か弱いネリーが、女性としての美しさと、尊厳と自由を取り戻してゆく姿、そしてラストの決断に、胸が張り裂けそうになります。見終わってしばらくは、この映画のことしか考えられなくなるでしょう。
9.キャロル(2015年 監督: トッド・ヘインズ)
50年代のニューヨーク。ジャーナリストを夢見るテレーズは、恋人との結婚になかなか踏み切れずにいます。クリスマス・シーズンのある日、アルバイト先のデパートに、娘へのプレゼントを探しに来た洗練された美女キャロルに、ひと目で惹かれてしまいます。離婚訴訟中で夫と争っているキャロルと、恋人から結婚を迫られるテレーズは、ふたりだけで旅行に行くのですが…。
キャロルのキャラクターがとにかく秀逸です。映画史上、こんなに粋で上品で洗練された女性が描かれたことはないと思います。エレガントなだけでなく、高潔で男前なので、女性でも男性でも惚れてしまいます。後味も最高な、見て本当に良かったと思うこと間違いなしの作品です。
10.二重螺旋の恋人(2017年 監督: フランソワ・オゾン)
原因不明の腹痛に悩まされているクレアは、精神的にも不安定になり、精神分析医ポールの診療を受けます。カウンセリングで癒されたクレアはポールと恋に落ち、同棲するのですが、ある日街でポールと瓜二つの男性と出会います。男性とポールは双子で、しかも同じ精神分析医だというのですが…。
元モデルのマリーヌ・ヴァクトの非の打ち所がない完璧な美貌と、大胆な脱ぎっぷりを堪能しましょう。官能的なラブ・ストーリーですがサスペンス色が強く、ほとんどホラー映画のような演出で、さらにユーモアも感じられるという、一粒で何度も美味しいめずらしい映画です。映画でよく扱われる、分身というテーマが好きな方にもおすすめです。