おすすめのサスペンス映画10作品を紹介します。
サスペンス映画の魅力はやはり、ドキドキ・ハラハラする緊張感を味わえることですよね。
そして、日常とは違う、不思議で非現実的な感覚に浸れるのもサスペンスの醍醐味です。
今回紹介する作品はユニークな異色サスペンスで、別世界のような映像が魅力的です。
すべて非日常感を満喫できる、質が高い作品ですので、普通とはひと味違った映像を見たい方におすすめです。
おすすめ サスペンス映画10選
1.死刑台のエレベーター(1958年 監督: ルイ・マル)
フランスの大巨匠によるサスペンスの名作です。ジャンヌ・モロー演じるフロランスと、その夫が社長を務める会社で働くジュリアンは不倫関係にあり、邪魔者の社長を自殺に見せかけて殺そうと企てます。ジュリアンが社長を殺しますが、ささいなミスのせいで、エレベーターに一晩中閉じ込められることになってしまいます。ジュリアンが待ち合わせの場所に現れず、不安でたまらないフロランスは、パリの夜の街を、彼を探して歩き回るのですが…。
本作品は欧米の映画批評家によるオールタイム・ベスト作品のリストでいつも選ばれる、名作中の名作です。
物語がかなりテンポよく進むので、どんどん引き込まれていきます。60年以上前の作品にもかかわらず、古臭さが微塵もなく、スタイリッシュな映像とジャズが驚くほどかっこいいです。
パリの夜の街のシーンが有名で、夜なのに光で輝いて見えます。白黒ならではの陰影が美しい、独特な映像が忘れられません。白黒映画デビューや、古い映画は見たことがないけれど気になるという方にも、とてもおすすめです。
2.マルホランド・ドライブ(2001年 監督: デヴィッド・リンチ)
深夜、ハリウッドで車の衝突事故が起き、乗っていた美しい黒髪の女性は車から逃げ出し、一軒家に忍び込みます。同じ頃、女優を目指してハリウッドに到着した金髪の女性ベティが、下宿先であるその家に着き、黒髪の女性と出会います。黒髪の女性はリタと名乗りますが、事故のせいで記憶を失っていました。二人は惹かれ合い、ベティはリタが記憶を取り戻すのを手助けするのですが、リタが持っているバッグには、大金と不思議な青い鍵が入っていて…。夢、現実、妄想が混ざった、謎だらけのストーリーが展開していきます。
こちらもイギリスで「21世紀の最も偉大な映画トップ100」の1位に選ばれたことがある名作です。不思議で不気味で独特の世界観がたまりません。難解だと敬遠されているのが、非常にもったいないです。この映画は、謎に翻弄されて、魅せられるのが楽しいので、論理的に分からなくても、エンターテインメントとして十分に楽しめます。夢を見ているような、ダークで甘美な非現実感を味わえるので、ぜひ気軽に見ていただきたいです。
3.アザーズ(2001年 監督: アレハンドロ・アメナーバル)
第二次世界大戦時のイギリスで、戦地から戻らない夫を待つグレースは、娘と息子とともに3人だけで、広大な屋敷に暮らしていました。日光アレルギーの子どもたちを守るために、昼間も分厚いカーテンを閉め切っている暗いその屋敷に、ある日突然3人の訪問者がやって来ます。彼らを使用人として迎えるのですが、それ以来屋敷では、奇妙な現象が次々と起こりはじめて…。
ゴシックな雰囲気が似合いすぎる、黒いドレスを着たニコール・キッドマンが怖いほどに美しい、科学や論理では割り切れない世界を描いた異色サスペンスです。派手なシーンはなく、静かな展開なのに、謎が謎を呼び、最初から最後までスリリングです。非常に凝った映像美も見どころです。最後には驚愕の真実が明らかになるので、覚悟していてください。
4.イースタン・プロミス(2007年 監督: デヴィッド・クローネンバーグ)
クリスマス時期のロンドン。助産師として働くアンナの病院に身元が分からない女性が運び込まれ、女の子を生みますが、その女性は亡くなります。アンナは女性が残したロシア語の日記を頼りに、女の子の身元を調べていくうちに、ロシアン・マフィアの世界を知ることになります。マフィアでありながら紳士的で優しいニコライと出会い、惹かれてしまうのですが「女の子の身元を調べるのは危険だ。これ以上関わらないほうがいい」と言われてしまい…。
『マルホランド・ドライブ』と同じく、ミステリアスな美しさがサスペンスにぴったりのナオミ・ワッツが主演です。この映画の最大の見どころは、ニコライを演じるヴィゴ・モーテンセンのかっこよさです。強いのに優しい、知的で冷静なのに繊細という、複雑なキャラクターで、女性から見ても男性から見ても、とにかく魅力的すぎます。イギリスのロシア人社会という設定がなかなかめずらしく、エキゾチックで刺激的な世界が楽しめます。
5.パッセンジャーズ(2008年 監督: ロドリゴ・ガルシア)
セラピストのクレアは、飛行機事故で生き残った5人の乗客のセラピーを担当することになり、カウンセリングを進めていきますが、メンバーがひとり、またひとりと忽然と姿を消してしまいます。事故の過失を隠ぺいしたい航空会社が、生存者を口封じするために狙っていることが疑われ、クレアは事実を解明するために奔走しますが…。
この映画も、ラストで驚愕の事実が判明します。それまでの展開が、非常にミステリアスでドキドキします。もうひとつの見どころは、ブルーが基調の幻想的な映像です。何度も雨が降ったり、ブルーモーメントのような青い薄明かりが多かったりと、どこか夢のような、不思議な街の雰囲気に、アン・ハサウェイ演じる聡明で繊細なヒロインの美しさがとても映えます。非日常感が満喫できるサスペンスで、何度も見たくなる作品です。
6.ドラゴン・タトゥーの女(2011年 監督: デヴィッド・フィンチャー)
ジャーナリストのミカエルは、大物実業家の不正行為を月刊誌で暴くと、ある大財閥の会長から、40年前に起こった16才の少女の失踪事件を調査してほしいと依頼されます。失踪には残虐な連続殺人事件が関わっていると見たミカエルは、ドラゴンのタトゥーを入れた天涯孤独の天才ハッカー、リスベットに調査の協力を求めるのですが、パンクで異端な彼女は、強烈な個性の持ち主で…。
リスベットを演じたルーニー・マーラが最高です。まっ黒なパンク・ファッションに身を包み、ボディ・ピアスだらけで、髪を刈り上げて眉毛もないのに、気品と優しさが感じられて、誰もが魅せられてしまうはずです。ダニエル・クレイグも『007』シリーズとは違った、普通の人間らしい魅力を見せてくれます。キャラクターやストーリーとともに、もうひとつの大きな見どころはスウェーデンの景色です。雪や白夜といった魅惑的な別世界が満喫できます。公開後何年経っても、この映画の雰囲気が大好きな世界中のファンが、スウェーデンのロケ地に殺到しているほどの素晴らしさです。
7.プリズナーズ(2013年 監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ)
アメリカの田舎町で幸せな家族が感謝祭を祝っていましたが、家族の幼い娘がパーティーの途中でいなくなってしまいます。この事件を担当することになった刑事は、娘は誘拐されたと見て捜査しますが、手がかりが少ないため、なかなか捜査が進展しません。居ても立っても居られない娘の父親は、犯人を突き止めるために、法とモラルを無視し、狂気にかられて暴走していくのですが…。
ただの「誘拐もの」では決してない、いろいろな意味で「囚われた人(プリズナーズ)」が登場する、人間の迷いや葛藤や狂気を、容赦なく描いたサスペンスです。上映時間が長めですが、先の読めないストーリーに心奪われ、まったく長く感じさせません。「重い」とか「暗い」という感想が多いですが、とても衝撃的で熱い、見ごたえのある作品で、エンターテインメント性もあります。極限状況における心理サスペンスが好きな方におすすめです。
8.白い沈黙(2014年 監督: アトム・エゴヤン)
雪深い町で仲良く暮らす父親マシューと小さな娘キャスは、ある吹雪の日、車で食料品の買い物に出かけますが、途中で娘キャスが行方不明になってしまいます。キャスが見つからないまま長い年月が過ぎても、決してあきらめないマシューは、失踪から8年後のある日、刑事から失踪の手がかりを知らされます。失われた年月の幸せを取り戻したいマシューは、キャスの捜索に乗り出すのですが…。
こちらも誘拐された娘を探す父親の話ですが、タイプが全然違います。この映画は特殊で、始まってすぐに、誘拐犯が明らかにされます。時系列が大胆にシャッフルされていて、淡々と展開してゆくのですが、それでも不思議な緊迫感があり、惹き込む力が強い作品です。娘を深く愛する父親役のライアン・レイノルズの熱演に、誰でも心が動かされるでしょう。そしてこの映画で圧倒的な存在感を放っているのが、雪です。降り積もる白い雪が、すべての音を消してしまうようで、まるで時が止まったように感じられます。怖いような心地良いような、不思議な感じが、見終わった後もずっと印象に残ります。変わったサスペンスを探している方に、とてもおすすめです。
9.エクス・マキナ(2015年 監督: アレックス・ガーランド)
世界一有名なIT企業で働くプログラマーの青年ケイレブは、社内の抽選に当選し、社長ネイサンの自宅を訪問するという機会を得ます。人里離れた山の奥にある、厳重に警備されたネイサンの自宅に着くと、ケイレブはネイサンが製作中のAIロボットの実験を手伝うよう頼まれます。若く美しい女性の姿をしたロボットとケイレブは、接するうちに打ち解けていくのですが、次第にこの実験は危険であることがほのめかされて…。
設定、人物描写、セリフ、映像、すべてが一筋縄ではいかない、並外れて独創的な作品です。登場人物が4人のみで、隔離された空間で、会話を中心に展開していくというのが、非常に斬新です。最初から最後まで緊張感のある会話に、かなりドキドキします。美しく、ミステリアスで複雑なロボット「エヴァ」に、心を奪われない人はいないでしょう。いつまでも強烈な余韻が残ります。「こんな映画、今まで見たことない!」と思うような作品を見たい方、ぜひ見てみてください。
10.ダンケルク(2017年 監督: クリストファー・ノーラン)
第二次世界大戦時、連合軍の兵士たちは、フランスのダンケルクでドイツ軍に包囲され、撤退を余儀なくされましたが、撤退してイギリスへ出港する船が次々とドイツ空軍から爆撃され、ダンケルク海岸はまるで地獄のようです。空ではイギリス空軍のパイロット達が、スピットファイア戦闘機で勇敢に戦います。一方イギリスでは、民間人が国から徴兵され、勇気ある親子がイギリス兵士たちを助けるために、小型船でダンケルクに向かって出港していきますが…。
本作品は驚異的にかっこいい大傑作です。特に圧巻なのは、映像の美しさです。こんなに神秘的で美しい映像は見たことがないと思うほどのシーンが、次から次へとつづきます。
派手な華美さとは違う、抑えた色調でどこか日本の禅を感じさせるような異次元的な映像が忘れられません。展開も、息をつく間もないほどの緊張感に満ちていて、尋常でない迫力があります。「セリフがほとんどない」というレビューに、どうか気後れしないでください。セリフが少ないところが、逆に想像力を掻き立てられて、刺激的なのです。特に男性に絶対に見ていただきたい作品ですが、目の覚めるような美しい男優ばかり出てくるので、女性も大満足できること間違いなしです。